夜の街から
子供が居ることを報告してから騒々しくなった。
卒業式とか結婚式とか。
あたしは余りこだわりが無かったから周りに任せたらとんでもない事になった。
会社関係を呼ばなければならないことは分かってたけどあたし達の両親が呼んだ数はおびただしかった。
それでもなんとか無事にやりすごし、気付くと大学生になっていた。
あたしはその人の家に嫁ぎ、今は彼と共に暮らしている。
そうこうしている内にあっという間に十月十日は過ぎた。
無事に産まれてくれたのは女の子で、男の子が欲しかったその人はほんの少しだけ残念そうだった。
喜びが現実として実感を持ち始めた頃。
二人きり、っていっても娘がいたけど、その時にその人はあたしの耳許で囁いた。
「やっと戻ってきた。俺、由萌に慶華を取られて淋しかったんだ。明日は立てないだろうから覚悟しときなよ。」