夜の街から
壱貴は黙ってあたしの言葉に頷いてくれた。
「あたしの両親、は、大きな会社を経営してるの。兄弟は6人。みんな、男の子ばっかりで――――……
――――――……
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あたしの両親のあたしに対する態度。
兄弟達の態度。
あたしは養子で捨てられた事。
学校であたしに向けられる視線の事。
陰口を言われる事。
ユウちゃんの事。
一度開いてしまうと、閉じることが出来なかった。
話し終えたあたしは思い返して零れそうになった涙を隠すために下を向いたら、壱貴は優しく頭を撫でてくれた。
それがきっかけで堪えた涙が零れてしまった。
なんて涙脆くなったんだろう。
あたしは強いはずなのに。