夜の街から

どこかで会ったことがあるのだろうか。
どうしても思い出せないのだけれど。

そんなことを思っているうちに、目の片隅で彼を探すようになってしまった。
見付けれる方が珍しいのに、見付けれ無いとどこかでガックリしているあたしに気付いた。


――――…今日も見付けれ無かった。
そう思いながら片付けていると頭の上から声が落ちてきた。


「もう終わっちゃったんだ。」

吃驚して顔を上げると、目の前には彼がいた。
あたしが最近夢中の彼に。

驚いて声が出ないあたしに。
更に衝撃を与えた。


「10年以上経っても驚いた顔は変わらないね。」

なんて言ってケタケタと笑った。

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