ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】


「商売の“商”は“あきない”と読む。“飽き”が来たら、楽しくない。飽きないから楽しい」

にこやかな笑顔のまま話すシゲさん。
しかしその瞳の奥には、仕事モードの時と同じ輝きのようなものを感じた。


「確かに………」





“飽きない~”の言い回しは、シゲさんと初めて会った時、俺に言ってた台詞だった。
この一言で俺は、シゲさんは他の診断士とは違うって強く感じた。
だからヘッドハントされた時も、この人なら…って思ったんだよな……。


そう言えば、シゲさんにエリの話をちょこっとしていたけど、実際にエリに会ったことってなかったかもしれない。

ふと、思い出した。

確か、シゲさんには、ケータイのカメラで撮った、彼女と俺んちの愛猫・ミーナとのツーショットを見せただけかも……。
親以上の人なのに、俺って…………。


多分、そーいう、どこか抜けているところが、エリに飽きさせたのかも。
……………否めない。






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