ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「―――――――付き合ってるなら、早く言えよ、バカ息子。人伝えで知って恥かいたぞ」
背を向けたまま呟き、親父は部屋を後にした。
部屋にはドアが閉まった音と、言葉の余韻、古書の匂いが残された。
本に囲まれて仕事をする親父の匂い。キライではなかった。
「……………さて、エリに電話するか」
俺は、ベッドの上で待ち侘びてる携帯に手をやり、エリの番号を押した。
「……………エリ、うちの親と会うの躊躇ってたからなあ……いきなり明日って言ったら………」
呼び出し音が回を重ねるごとに、不安が少し胸に浸蝕していく。