ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
ウチの家族は皆彼を“シンちゃん”と呼んでいる。

弟の依生も、妹の実緒も、ホントの兄のように慕ってる。
それがウレシイ。

「シンちゃんちって、スゲー家なんだろ?大学教授とマナー講師の両親、きょーだいとかも、エリートでスゲーんだろ?……ねぇちゃん、大丈夫かよ」

歯ブラシと歯磨き粉に手を伸ばす弟。
声変わりしたてが、不安げな顔してきく。

「…………何とか。ある程度見た目ちゃんとしてくし~♪あ~ほら、笑顔で行けば、何とかなるっちゃ、ねっ!!スマイル、スマイル♪」

自分の口角を指差し、笑顔を作って弟に見せる。
無理した笑顔は、さすがに引き攣ってるワ………。
ダサっ!

「あっちの親に………認めてもらえるといいな」

頬をピンクに染め、照れながら歯をしゃかしゃか磨く。
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