ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「いらっしゃいませ」
藤色の着物に身を包み、早速と現れた女性は、まるで旅館の女将のように、裾を直しながら正座をし、深々と頭を下げた。
キレイな女性………。
スラッとしてて、“和服美人”………。
どことなくシンに似てる………目元かな?口元?
おっと、見取れてる場合ではない!
「あ………は、はじめまして!お、お、おおお…」
「こちら、大友衣理さん」
あまりの緊張に声がどもったアタシに、シンが助け舟を出してくれた。
「衣理さんかい………」
「あのっ!お母様………つまらないものですが、皆さんで召し上がって下さいっ!」
ぷぷっ!
ん?
“ぷぷっ?”
含み笑いからすぐ、ケタケタと高い笑いに変わった。
和風美人は、目尻にシワをたくさん作り、ニコニコしっぱなし。
アハハハハハハハ~!
「あれ?……ちょっと、シン?」
「ゴメン、紹介するわ。アハっ!こちら、うちのばあさん、水嶋多喜子(みずしま たきこ)」
「ほぇっ?おばーさま様?」