ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「真一の祖母の多喜子です。真一がいつもお世話になっているようで………」
「い、いえ!とんでもない!こちらこそ………失礼しましたっ!………あまりにもお若いからお母様かと………」
ペコペコと水鳥みたいに頭を下げた。
恥ずかしさのあまり、顔に熱を帯びている。
熱い………。
「親父たち、いるんでしょ?」
「ああ……お待ちかねのようだよ。さ、衣理さんどうぞ、お上がりなさいな」
「は…はい」
腰を掛けさせてもらい、ハイヒールブーツを脱いでいると、おばーさまが、
「久しぶりね……真一が女の子連れてくるなんて。ところで衣理さんは“タカラヅカ”はお好きかしら?」
はぃ?
思わず、ブーツのファスナーを下げ損ねた。
「タカラヅカ……ですか?」
突然の質問に“?”
アタシの中では宝塚は“禁断の女園”。
すんごい勝手なイメージだけど。
ファンにはものスゴく申し訳ないけど。
ミュージカル系がニガテなアタシ。宝塚はそのニガテ分野に属してて………。
組別の違いトカ?、トップスター……トカ?、娘役とか?
知識全然なくてぇ~どうしよ………。
知らないトカ言ったら、嫌われるかな?
「あの…………」
「タカラヅカは、私の生き甲斐なの」