ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
#01 再びJunction
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鼻腔にツン………とくる。
痛いくらい清々しいモヒートの香りで、少しずつ過去を思い出してきて。
シゲさんに、冷静に語る自分がいて。
話しながら、
“どうして、気づいてあげられなかったんだろう”
って出来事が、こんなにも沢山あったんだって事が判ってきて。
自分が情けなくて、だらしなくて………反吐が出る。
この後も、過去を話しながら、きっと出てくるだろう―――――。
エリの気持ちに、“気づいてあげられなかった”って事が。
別れて2年の歳月。
今更―――――
“会いたい”って思うのは、間違いなんだろうか?
“やり直したい”って考えるのは、異常なんだろうか?
「―――――すみません…………モヒート、もう一杯下さい」
空になったグラスを軽く掲げ、オーダーした。
まだ、気持ちの整理がついていない。
エリに別れを告げられた、あの時の俺がまだ、ここにいる。