ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
#03 孤独のRunaway
俺が、エリと順調に愛を育んでいる頃―――――。
山路滋規(やまじ しげのり)―――シゲさんに出会った。
偉そうに、帳簿の数字見て教え込まれた知識を並べて、さも、“こうしないとダメだ”とか相談者の気持ちを下向きにさせたり、尤(もっとも)らしく語って、金貰って―――――。
ハッキリ言って、ロクでもない診断士ばかり出会ってきた。
帳簿見るのだったり、経営改善のノウハウなら、資格持ってない俺だって分かる。
俺達、経営指導員の範疇では出来ない(分からない)ことを、登録されている専門家に指導を仰いでもらうってのに………。
―――――しかし、シゲさんは違った。
今まで出会ってきた中小企業診断士と違ってて。
経営経過の改善を指導してきた診断士ではなく、経営の行う心、「精神論」みたいな。
根本的なところから入っていくシゲさんに、今までにない、強い衝撃を受けた。
何度か一緒に、相談者のところへ行き、ヒアリングしたり、会議所主催のセミナー講師にシゲさん依頼して、セミナー聞いたり、打ち上げで飲みながら話したり………。
二次会、三次会と行き、最後、俺とシゲさん二人だけで話する事もあったりして。
シゲさんは、今俺と飲んでいるこの時と同じように、初めて会った時から、変わらずに、丁寧且つ真剣に聞いてくれる。
だんだん話していくうちに、
“この人みたいに、俺もなれるんだろうか―――――”
“彼のようになりたい”、“中小企業診断士になること”への憧憬が、少しずつ芽生え始めてきていた。