ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
丁度その頃、職場である会議所内では、“職員の資質向上”を強く謳っていた。
資質向上―――――
簡単に言えば“資格取得”を推進すっぞってトコ。
経営に関する指導をする俺らに対して“ハク付け”にしか思えないが………。
民間企業や金融機関なんかは、国家資格や社会的地位が認められている資格を持っていると、手当付いたりして給与も少し違うんだけど、経済団体はなぁ………優遇されないのが殆ど。
俺も、資格取ったからと言って給与が上がる訳でないなら、診断士の資格持っていても………という気持ちを持ちつつ、
『必ずひとつ、資格コースを選択して受験すること』
職員全員、この必須条件突き付けられてしまった。
で、俺はシゲさんとの出会いもあり、取り敢えず、中小企業診断士を取るために勉強を始めた。
―――――何だ、これ?
テキストやら中小企業白書とか広げてみたが………なんか、よくわかんねぇし。
初っ端から、壁にぶち当たってやんの、俺。
テキストや参考書を揃えた初日、それを枕にして、ソッコー寝た。
残念なことに、睡眠学習にならなかったのか、翌日、広げて寝てしまったところに関しては全く頭に入っていなかった………。