ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
“シンに会いたい。でも、今一番シンがガンバッテるトキ。我慢しなきゃね”
エリからのメールの最後は、決まってこの言葉―――――。
半月近く、お互いの仕事や、俺が試験勉強疲れで参ってたのもあり、彼女と会ってなかった。
前の空白の半月に較べたら、俺は寂しさや、“別れの怖さ”とかなかった。
考えてるヒマがなかった。
それくらい、自分はいっぱいいっぱいだったのかも……しれない。
俺だって会いてぇよ。
声、聞きてぇよ。
エリの笑顔、見てぇよ。
この手で、抱きしめたい―――――
今日は、久し振りに電話してみようか。
鞄から、ケータイを取り出す。
ケータイを鞄の中に入れる時、いつも決まった場所に入れてるから、迷うことなく取り出せる。
エリはいつも
“あれ?ケータイないんだけどー”
鞄をひっくり返して、ガサガサっと捜すのが日常茶飯事だったな………。
決まった場所に入れときゃ迷わないのに………。
そこが、また可愛くて。
ふと、そんな事を思い出しながら、電話帳のエリのページを眺める。
「かけてみるか………」