ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
急いで階段を降り、家を出ようとした時、玄関で親父に呼び止められた。

「真一、お前こんな時間に何処行くんだ?」

「………ちょっとコンビニ………」

「コンビニ行くのに車の鍵、要らないだろう?」

しまった、鍵。
見られた―――――。

そうだった。
自宅から歩いて10分もしないところに、ローソンがある。

薮蛇だった。


「まさか………彼女のとこに行くとか?」

俺は親父に背を向けたまま。
「―――――いいだろうっ……別に、ガキじゃねぇんだから、何処行こうが」

「お前、こんな遅くに行くもんじゃないだろう?もう日が変わったってのに………」

「『女にうつつ吐(ぬ)かして』とでも言うのか?」

俺はつい、ムキになった。

「………そうは言わん。ただ、もう遅い時間だろう?」
「急に会いたくなったんだよ!………悪いかよ………俺、行くから」

親父が次の句を言わせぬ勢いで思わず言ってしまった………。
引き戸に手をかけた時―――――

「真一」

低い声で俺の名を呼んだ―――――

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