ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
#05 それぞれのDestination
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「――――――そうでしたか………水嶋、そん時に衣理ちゃんにプロポーズしたんですね」
「………あ……ハイ………何かこっ恥ずかしい話ッスね………」
「でも、その割には楽しそうでしたけど?」
「えっ?………そうかぁ………?」
シゲさんが、クスクス笑いながら、右手の甲を支えに頬杖をつく。
「逢いたくても、逢えない時間が多くて………不安になってた衣理ちゃんにとって、水嶋からのプロポーズは凄く嬉しかったと思いますよ。人によっては、その不安を埋めたくて、他の男性に走ったり、最悪別れてしまったり………偉い娘(こ)でしたね」
“偉い娘でした―――――”
やっぱ、過去形になっちまうよな………。