ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
俺は、意を決して“会議所を辞めて、シゲさんと一緒に仕事をする”という返事をした。
悩みに悩み抜いた。
「俺、すんげぇ悩みましたよ。会議所で約10年も働いて、それまでの環境や生活スタイルが変わるのが不安で………。それに、自分がシゲさんと一緒に仕事をしたとして、足を引っ張るんじゃないかって………。でも、一度しかない人生だから、自分のやりたいことに賭けてみようって………なんか、照れますね」
照れて顔が熱くなるが、酒に酔って赤くなっていたから気付かれていないはず。
そんな俺は、チラッとシゲさんを見た。
「私はとても嬉しかったです。あの時の水嶋の真っ直ぐな瞳(め)、忘れられません」
口の端はニッコリしているが、目はマジだった。
あの時のシゲさんの誘いがあったから、俺は今、ここにいるんだ………。
この人には本当に感謝している。
ありがと、シゲさん。
心の中でぽつり、呟いてみる。