ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「……………わかった、わかったから!!ノブ、顔上げて………」
「ホント?」
ふっ…と、アタシの顔を覗き込む。
ノブの前髪がアタシの髪を掠(かす)める。
キス………まではいかないけど、吐息を感じるくらいの近距離。
不覚にも、心臓が跳ねた。
一瞬で思い出される。
高校時代に彼と付き合っていたトキの、初めてノブとキスするトキのコトを………。
思わずアタシはノブから目を伏せてしまった。
「………ああ~よかったぁ………」
何もなかったかのよに、ノブはアタシとの距離を開け、安堵のため息を漏らした。
………負けた。