ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
驚いた。
咄嗟に口から出た“カフェ・アメリカーノ”という単語。
ノブと付き合っていたトキに、彼がスタハに行く度、好んで飲んでいたモノ。
反射的に出たコトバに、アタシだけじゃなく、ノブも驚いていた。
――――――――――また、春の嵐が、びゅゅゅゅっと、音を立てて吹き荒れる。
アタシの視界の端の方では、急いでスカートを押さえる高校生が見える。
花びらは、ものすごい速さで舞い上がったり、かと思ったら、じれったくなるくらい、ひらひら舞い落ちたり。
視界の中央には、ノブがいる。
「行こっか」
この再会は、春の嵐のせい?
いや、単なる偶然だよね?
アタシは、これから、シンと幸せな結婚するために、彼と向き合うんだから。
一度くらいお茶飲むくらいだもん。
いいよね?
シン……………。