ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「………やっぱ、4年前の事、怒ってるよな………」
「………」
「………あの時は本当に悪かった………。衣理、ゴメンな………」
「………」
「ゴメン………」
反らした目をノブに向ける。
彼は、力なくカフェ・アメリカーノをテーブルにコトンと置き、俯いた。
暫く、アタシとノブに沈黙が流れる。
店員のオーダー確認、お客サンの雑談、ガラスを挟んだ通路を歩く人たちの笑い声、雑踏。
そんながやがやした周りの音まで“無”に感じる。
アタシ自信、もう彼を許してもいいものか、見かけ変わっただけで、まだ4年前の彼のままなのか………。
胸の奥の小さな痛みは拡がっていくばかり。
キモチは複雑だった。
「……………もしかして、あの後………俺が原因で………彼氏と別れたとか……?」
沈黙を破ったのは、力なく口を開いたノブだった。