ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
―――――とにかく、彼女との出会いは衝撃的だった。
俺に散々嫌味を吐くだけ吐いて、茉莉子は、腕を振りほどき、本ごと去っていった。
結局、借りようとしていた文献を図書館内の何処かに隠されてしまい、その文献なしでレポートを上げた。
無性に腹立たしかった。
一瞬にして、血液が煮え繰り返るほどの怒りが身体中込み上げてきたが、言われてみると、総てが間違いではなくて。
“夢も目的も持たずに大学へ行ってる”
確かにそうだった。
ただ、“何となく”。
仙台に居たくなかったし、東京に行けば何とかやってけそうだし、自分にとっての刺激になるものが沢山あるし。
………そして、“女”に困らなさそうだったし。
しかし何故に?
初めて会った女に、いきなり言われて。
『さっさと大学辞めて、ホストにでもジゴロにでもなれぱいい』って。
『女はアンタの性欲の掃きだめじゃないんだ』って………。
何故に俺の事、知ってたんだろう?
この女は一体、何者なんだろうって………。
かなりムカついたけど、“どんな女か知りた”いって気持ちが、俺の中に小さく燻(くすぶ)ってたんだ。