ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
アパート近くの見慣れたコンビニ。
そのサインポールが見えてきた時、通りの角から誰かが走って来たヤツとぶつかった。
ぶつかった勢いで、ケータイが落ちた。
カノジョからのメールの返信をしてた時だったのに。
「………いてっ………おいっ!ケータイ落ちたじゃねぇかよ!何処ほっつけ………」
―――――ぶつかった来たのは、茉莉子だった。
またも突然の出会いに、声を失った。
一瞬にしてあの図書館での出来事が蘇る。
「―――――おい!お前………この間、大学の図書館で逢った………」
「あ………夢無しジゴロ………」
「ハァ?何言ってンの?何勝手に“夢無しジゴロ”とか言ってンの?俺にはちゃんと名前があんの!」
「村越、敦裕……でしょ?」
「えっ?」
「村越敦裕、宮城県の七ヶ浜町出身。玉大3年。教育学部に通う20歳。8月10日で21歳。獅子座のA型。普通自動車免許と大型自動二輪の免許あり。女性関係はだらし無く、将来は取り敢えず何とかなるって考えを持つ、夢無し目標なし―――――どう?」
返す言葉がなかった………。
コイツ、俺のストーカーか?
落ちたケータイを拾い、電源を切ってまた入れて…動作するか確認しながらも、何故か手元が震えていた。