ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「………っつーかさぁ~アンタ誰?この間の図書館といい、今といい………」
「………」
名乗らないし、自分からぶつかっといて謝りもしない茉莉子にムカついてた俺は思わず、
「それともアンタ、俺に惚れてんの?」
パシッ!……
「………ってぇ~な……オイ!!!」
今度は左頬に平手打ち。
効いた。
「…てか、俺がお前に何したんだよ?!寧(むし)ろ俺の方がひでぇ目に遭って…迷惑なんだよ!」
「アンタ、すんごいムカつく」
気が付くと俺は、茉莉子の白いシフォンのワンピースの胸倉を掴んでいた。
「胸倉掴んでどうする気?殴る?」
威圧的な目―――――。
茉莉子の後ろからコンビニの明かりがきてたから、彼女の顔は余計に影が濃く、瞳だけが妖しく輝く。
「だいいちあたしには“茉莉子”って立派な名前があんの!“アンタ”とか“お前”とかもう言わないでくれる?」
「仕方ねぇだろ?俺はお前………いや、茉莉子の名前知らなかったんだからよ………」
俺はそう吐いた後、“チッ”と、舌打ちした。