ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「………その手、離してくんない?こんなとこで暴力でも振るったら、すぐ大声出すわよ」
ここは住宅地………しかもコンビニは目の前。
叫ばれたりでもしたら、すぐ通報される。
寧ろ俺がこの女を通報してぇよ。
暴力振るう気なんて更々なかったが、さっきから茉莉子の行動にはムカついてて………。
ああして威嚇でもしないと引き下がらないかと思ったが、この女には効き目がなさそうだ。
俺は掴んでいた手をそっと離した。
「ところでさ、何でそんなに俺の事を知ってるワケ?………何?ストーカー?」
「そんなこと、どうだっていいでしょ!」
「よかねぇよ!………暴言吐かれて、ケータイ落とされて、平手打ちされて………いい加減にしろよな!」
「いい加減なのは村越敦裕!アナタよ、ア・ナ・タ!女を何だと思ってんの?先の事も考えず、“今だけよければいい”って考え、もう捨てたら?」
茉莉子は、掴まれていた胸元のシワを撫で直す。
相変わらず威圧感たっぷりの瞳。
俺は思わず、目を反らした。