ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
俺は、合格の報らせを、親より先に茉莉子に伝えた。
来年春からは、地元・宮城で教師かぁ………。
自分でも信じられなかった。
自分の将来の事、真剣に考えてなかったから。
今考えるとある意味、恐ろしい………。
この不況の中、“何とかなる”って、タカ括(くく)って。
教員採用試験なんて、俺が受けた高校の地歴(社会)が11倍っつーひでぇ倍率だったし………。
でも、受かってマジよかった。
それもこれも、茉莉子のお陰………。
俺は、茉莉子に合格できたお礼にと、プレゼントを…と、考えていた。
しかし、茉莉子は何が好きなのか………ちゃんと答えてくれた試しがない。
茉莉子と出逢って1年以上過ぎているのに、俺は茉莉子の事を知らないまま。
素性を知ってはいけないっつー約束だしな………。
自分にしては珍しく、従順に彼女との約束を守っていた。