ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「ノブ、あの真ん中、歩こうよ」
「あ?……ああ」
そう言って、定禅寺通の遊歩道を指差す。
「あ、グッドタイミング!!丁度青になった。行こっ」
「あ………」
そう言って、茉莉子から俺の手を取り、人の波を掻き分けながら遊歩道へと渡る。
俺から手を繋ごうとすると、“必要以上に触れない!!”と叱られる。
それが今、茉莉子から手を繋いできた。
茉莉子が倒れて、俺が一晩中病院に付き添っていた時以来だ………彼女の手を握るの。
それにしても、しゃっけぇ手………。
細くて、華奢で、今にも折れそうな白い手。
俺は、掴まれた手にそっと指を絡め、しっかりと握り締めた。
ドクドクドクドクドクドク………………
胸の鼓動が馳せる。
緊張感のような微弱な電流が、全身を駆け巡る。
今までに感じたことのない、恍惚感(こうこつかん)。
セックスの時でさえ感じたことのない、甘い痺れ。
馳せる。
気持ちが馳せる。
利かない。
歯止めが利かない。
空を覆い尽くす光たちが、俺の気持ちを後押しする。