ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
俺たちは、とろけそうなほど眩しい空を仰ぎながら遊歩道をゆっくりと歩く。
足下には、雪が凍りかけてきて滑りやすい。
手は、繋いだまま。
茉莉子が滑らないように………。
そんなのは建前。
ホントは、離しておきたくないから、手を繋いでいる。
しっかりと、解けないように。
繋がっていたい。
「ノブ、今夜はオレンジ色の雪だね」
「あ………ホントだ………」
昨夜からの雪が道に積もり、その雪の反射で、夜陰に浮かび上がっている。
仰げば、ケヤキの枝に、幾万ものオレンジの粒子
俯けば、雪で出来た光の絨毯
この先、光のトンネルを潜り抜けたら何処へ行くんだろう?
夢から覚めて、現実に戻る?
また、いつもの二人に戻る?
と、急に茉莉子の足が止まった。
俺も合わせて足を止めた。
「……………この光のページェントの果てまで行くのが、怖い………」
「………どうして?」
「夢が………醒(さ)めてしまう……………。このまま、ずっと、夢のままでいたいから………」