ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「おい、どうした?茉莉子らしくな―――――」
横を向くと、彼女の見上げた横顔に白く煙る吐息と、一筋の光。
―――――泣いている。
涙が頬を伝い、顎から雫が一滴、ワインレッドのマフラーへと零れ落ちた。
涙を流す女の横顔が、こんなに美しいものなのか。
これこそ幻か?
幻想を見ているのか?
「………今夜、ノブと一緒にこのページェントが見られて本当に良かった………。ワガママ聞いてくれてありがとうね。………こんなに素敵な景色見たら、現実に戻りたくなくなっちゃう………。夢のままで、いたい………」
瞳に涙を溜めて、俺にありったけの笑顔を見せる。
どうしてそんなに、俺の胸を締めつけるようなことするんだよ。
もう、ダメだ。
気持ちが、抑えきれない。
「俺は、夢のままでいたくない」
「……………ノ……ブ………?」