ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
長い、長い、長い、キス。
どのくらいキスしただろう?
茉莉子がタイムリミットを知らせるかのように、ゆっくりと唇を離した後、身を引いた。
「……………ダメだって………ノブ………。言ったでしょ?“あたしを好きになっちゃいけない”って………」
「知ってる」
「じゃあどうして…?」
「じゃあ逆に訊くけど、どうして俺に近づいた!?将来も夢も考えてなかったロクでもない男に、何で勉強教えたりした?茉莉子に似合うヤツが他にいくらでもいるだろうに………」
「……………っ………」
声を詰まらせ、彼女は俯いた。
「………悪かった………強く言い過ぎた………」
そう言って、俺はまた彼女を抱き寄せてしまった。
冷えた彼女の黒髪をそっと撫でる。
「……………ロクでもないなんて、自分を卑下しないでよ………。あたしは………あたしは………」
ボロボロと零れる茉莉子の涙が、俺の胸を濡らす。
「初めて見た時から、ずっと……ノブの事が好き………」