ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】


茉莉子がいなくなってからの俺は、今まで味わったことのない虚無感に襲われていた。

落ち着かない日々。
茉莉子が何処にいるのか、気になって気になって、あまり寝ていなかった。

地元の友達に会ったりもしたが、茉莉子の話はしなかった。
話す気分じゃなかったから………。



―――――正月三が日が明けてすぐ、俺は直ぐ東京へ戻った。
戻ってから、卒業までバイトがあったが、休みの日を利用して茉莉子を捜した。



二人で勉強した思い出の都立多摩図書館。


初めて出逢った玉大の図書館。勿論、キャンパス内も。


ケータイのメモリを消されたアパート近くのコンビニ。


俺のアパートがある町田市から立川、国立、八王子。


隣の相模原市や川崎の方まで。


それはもう、虱(しらみ)潰しの様に探した。



彼女のケータイ番号は、もう何の効力もない。

手がかりは、“茉莉子”という名前だけ。


写真………撮っておけば良かった………。




―――――大学の友人に茉莉子の事を訊いた。


「あのさ、ウチの大学に“茉莉子”って女、いなかったか?他の大学でもいい………。黒いロングヘアで、色白で………」


「茉莉子?“真理子”とかならいるけど…そんなの知らんなぁ」


「うーん、茉莉子ねぇ………何処にでもいる名前だしな~。村越お前、幻でも見たんじゃね?」


どいつも、こいつも、バカにした言い方。ムカつく。



茉莉子


どうしていなくなるんだよ?



俺たち、やっと互いの気持ちが通じ合って、結ばれたってのに………。





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