ページェント・イブ ～エリー My Love～【長編】

―――――東京の桜開花まであと3週間、3月初旬。


宮城県教育委員会から文書より先に電話連絡があり、俺は4月から、県立の蔵王高校に赴任する事が決まった。


「村越さんは七ヶ宿町の方だからお解りかと思うけど、宮城蔵王は4月までは雪が残っているから、それなりの準備と覚悟しておいて下さいね」


宮城蔵王か…………。


ってゆーか、俺。“七ヶ浜町”の出身で、“七ヶ宿町（しちかしゅくまち）”じゃねーし。
因みに七ヶ宿は、宮城蔵王に隣接している町。

この教育委員会のヤツら、マジで大丈夫かよ？

ちょっと心配になってきたよ………なぁ？茉莉子。



茉莉子………。


俺、4月から蔵王に行くよ。


冬は寒さが半端なく厳しくて、雪深くて、仙台とは較べもンにならないけど。
極寒な分、春の暖かさが幸福だと感じる事の出来る場所だと、俺は思う。


何か、俺と茉莉子の出逢いみてぇだな。


出逢った時は、強（したた）かで可愛げがない茉莉子に、無性に腹立ててた。


“二度と会いたくない”


そう思ってた。