ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】


「………ゴメン、衣理。今の電話、学年主任で………。これから蔵王に戻って反省会出なきゃならなくなった………」

「反省会?」

何だろ?反省会って。


「………昨日まで一泊二日で、蔵高の一年生だけ“ホームルーム合宿”ってのがあってさ……。今日はその振替休日。で、うちの生徒らが悪さしないようにって、先生方何人かで補導してたってワケ。明日は通常授業あるってのに、19時から学年主任の知り合いが経営してるペンションで反省会だと」

そっか………。
新任になったからって、仕事が少ないワケじゃないんだね。
しかも、学年主任から直接電話だし。

こりゃ、大変だ………。


「……………そっか………ノブ、先生なりたてだし、学年主任のセンセからの電話じゃ断れないだろうしね………」

この時間が終わろうとするのが、少し寂しい。


「ゴメンな………。でも今日、衣理に逢えて………茉莉子の話聞いてくれて………ホントよかった。ありがとな」


「アタシも………嬉しかったよ。ノブ…………」

「ん?」

「………今までのノブと、全然違う。………強くなったって言うか………」


何だろ、アタシ。
ノブとモトサヤに治まりたいとか全然思わないのに。

何故か、この時間が惜しいと感じてしまう。

ノブが………。


「カッコ、いい。カッコいいよ、ノブ。………これも、ノブが東京での大切な出逢いがあったからなんだろうね………」


「そんな事、水嶋さんが聞いたら、また激怒するぞ」

………シン。

シンがアタシの今の気持ちを知ったら、きっと怒るだろうね。
恋愛感情とかないって言っても、嫉妬するだろうな………。
クールに見えて、実はヤキモチ妬きだから。

ノブはあの一件を見てるから解るんだよね。


「………そだね………」


すると、ノブがいきなり。

「衣理、ケータイ持ってっか?」


えっ?


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