ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
#09 こんな僕で良かったら~From ノブ~
「…………おい、衣理?……何で衣理が泣く………?」
顔を上げると、ぽろぽろと大粒の涙を零す衣理。
目は真っ赤。
眉間に皺寄せ、ハの字形にさせて。
あ~あ。
しかもしゃくり上げるほど泣いてるし。
「泣く事ないのに………ほら、これで拭いて」
漁ってたポケットから、水色と黄色のチェックのタオルハンカチを取り出し、衣理の目の前に差し出した。
彼女は“ありがと…”とハンカチを受け取り、目頭を被(おお)う。
「―――――確かに、茉莉子の事は予期せぬ結末…ってカタチになっちまったけど、俺は、茉莉子と出逢えて本当によかったと思ってる………茉莉子は遠い旅に出ただけだから、また逢える………そう信じている。だからもう、哀しむのはヤメたよ…。手紙にあったように、彼女との出来事を胸に、未来をしっかり見詰めようと思う………」
って話してたら、衣理のヤツ、また泣き出してしまった………。
自分の事じゃないのに………。
でも、嬉しいよ。
ありがとな、衣理―――――。