ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】



「………ゴメン、衣理。今の電話、学年主任で………。これから蔵王に戻って反省会出なきゃならなくなった………」

「反省会?」

「………昨日まで一泊二日で、蔵高の一年生だけ“ホームルーム合宿”ってのがあってさ……。今日はその振替休日。で、うちの生徒らが悪さしないようにって、先生方何人かで補導してたってワケ。明日は通常授業あるってのに、19時から学年主任の知り合いが経営してるペンションで反省会だと」

やれやれだわ。
………ま、仕方あるまい。


「……………そっか………ノブ、先生なりたてだし、学年主任のセンセからの電話じゃ断れないだろうしね………」


顔は俺の方を向いていたが、視線は下の方。
何か………心持ち、落ち込んだ様子に見えたけど、気のせいか?


「ゴメンな………。でも今日、衣理に逢えて………茉莉子の話聞いてくれて………ホントよかった。ありがとな」


「アタシも………嬉しかったよ。ノブ…………」

「ん?」


「………今までのノブと、全然違う。………強くなったって言うか………」

ひとこと、ひとこと話すごとに、衣理の頬が赤く染まっていくのが解る。



「カッコ、いい。カッコいいよ、ノブ。………これも、ノブが東京での大切な出逢いがあったからなんだろうね………」


「そんな事、水嶋さんが聞いたら、また激怒するぞ」


俺が言った卑猥なウソ。
その言葉に翻弄された、3年前のクリスマスイブの時のように………。


「………そだね………」

またしても、俯き加減で元気がない。

あ~あ、反省会なんて今週末でもいいじゃねぇかよっ。
衣理と別に縒(よ)り戻すつもりは無いけど、何かほっとけない状況じゃね?


………あ。

「衣理、ケータイ持ってっか?」



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