ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
あれ?
まずった?
「………ぷっ………あはははははは」
“ぷっ…”って何だよ、おいっ!!
「心配かけてゴメン………ノブ、ありがとね。アタシたちはもう、ただの同級生だもんね………」
「そ。そーいうことにしといてよしっ。ただ、無理だけはするなよ。不幸な姿は見たくないからな」
大粒の涙を一つ零して、衣理は、こくんと頷いた。
「じゃ、悪いけど、電車の時間あるから………。衣理、またどっかで逢えたらいいな」
衣理をスタハに残し、俺の方なんて見ていないのを知りつつも、彼女に笑顔で手を振り、ホームへと走った。
俺は、東北本線の上りホームに着いてから、衣理のケータイ番号を、自分のケータイに入れていない事に気が付いた。
「あ………茉莉子と同じ事、しちまった………。ま、いっか」
“必要な時に、神様がちゃんと二人を引き合わせくれるから―――――”
なんてな。
「さて、反省会に行きますか………」
4月半ばだというのに、春雪残る蔵王へ帰ると思ったら、夕映え迫る仙台の温かい風が、少し肌寒く感じた。