ページェント・イブ ～エリー My Love～【長編】

「………リちゃん？衣理ちゃん？」


「衣理、オーナー呼んでるよ」

「あ、ハイッ！すみませんっ!!」


バックルームで、タオルの洗うのに洗濯機回してたら、いずみさんに声掛けられたんだけど………。

ぐるぐると回る洗濯の渦を見詰めているうちに、気が付くとまた“自分のこれから”について、考え込んでしまっていた。


アタシったら仕事中なのに………ぼんやり。
最近、こんな感じ。

んもぉ…バカ………。


すぐにオーナーである淳子さんのところへ行く。


淳子さんはカウンターで、今日のお客様カルテを打ち込み。
パソコン画面を凝視していた。

その表情は、いつになく険しい。


閉店間際とは言え、お客様も一人残っていらっしゃる。

アタシったら………。


「オーナー、すみませんでした。入力は私がやります」

あまり大きくない声で、淳子さんに深く深く、頭を下げて謝罪。


「………衣理ちゃん、この後時間あるかしら？」


「はい？」