ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
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着いたトコロは、こぢんまりとしたダイニングバー“チャコール・ガガ”。
仙台駅西口前・つつじ野百貨店裏手にある雑居ビルの三階に、その店はあった。
古いビルなんだけど、内装は古さを感じさせない………。
ダウンライトと、黒を基調とした店内がそうさせてるんだろうな。
店に入るやいなや、淳子さんがカウンターにいたギャルソン風の人に軽く手を振る。
「ゴメンね~稲葉クン。急に店開けてもらって………」
「いいっすよ。淳子さんのお願いだったらオレ、全然構わないっすから。それにどっちみち明日の仕込みもあったんで…。ただ、食材があまりないから、たいしたのは出来ませんが…」
「あ~構わない構わない。逆にこっちが無理言ってんだから。稲葉くんは気にしないで」
「スンマセン…。今日オーナー、榴岡の店に行ってて…団体さんの予約入ってしまってて…」
「あ、太田っちはいいの。稲葉くんだけいれば♪」
そのコトバに“稲葉くん”と呼ばれた彼は照れ笑いしてた。
どうやら、淳子さんはこの店の方とは仲がいいみたい。
随分と楽しそうに会話してたし。
アタシは落ち着かなくて、淳子さんたちの会話中、店内をキョロキョロと見渡してたケド。