ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「プライベートで何があったかは分からないけど、仕事中はプロ意識しっかり持ってやって欲しいの。お客様は正直だから、店で何も言わなくても、その時の雰囲気や技術、対話が合わなかったら、それっきり来なくなることもあるの。技術だけ良くてもダメな世界なのよ………」
「………はい……すみません」
「衣理ちゃんはウチの大事な看板娘なんだからっ。プロ意識、忘れずに。次からは気をつけて頂戴」
「はいっ!ありがとうございます!!今後、気をつけます。申し訳ありませんでした!!」
アタシは何度も頭を下げた。
シンのコト、ノブのコトでぼんやりしてて………。
これじゃ肝心要の自分の夢をダメにしてしまうじゃん。
その資格を棒に振るような行動は、足元掬(すく)われる。
例え、技術がよくても、国家資格を持ってても。
気をつけてなくては。
自分がぼんやりしてたコトで、周りに迷惑かけてきた分、取り戻さなきゃっ。
「衣理ちゃん!いつまで水鳥みたいにペコペコ頭下げてんの?!同じことを繰り返さないようにすればいいんだから………もうその話はおしまい!さっ、座って座って!」
そう言って淳子さんが、両手でアタシを座らせるよう促すアクションをする。
アタシはぺこりと一礼して腰を降ろした。