ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】


ガタッ!!

手に掛けようとしてたビールのグラスを誤って倒してしまった。

「す、スミマセン………」

中は空っぽだったのでセーフ。謝りながら、グラスを元の位置に戻す。


それにしても………直球。

「あら、図星?………まぁセックスとまではオーバーだけど、感じからして、店で会う以外に会ってなさそ。本来ならば、プロポーズ受けて幸せいっぱいってなるところが、“それ以前の問題”…って、しっかりと衣理ちゃんの顔に書いてある」

「えっ!?顔に?」

思わず、両手で頬を覆った。


「ウチの店に会議所の人とかたまーに来て話して行くけど、真ちゃん、かなり忙しいみたい。彼の年齢だと、上司と部下の間に挟まれて…。30代40代は踏ん張りどころとは言え、大変よねぇ」


そっかぁ。
相変わらず忙しいんだ………。

仙台のイベントの殆どは会議所が絡んでるって言ってて、今も担当外なのにイベントの会議とか出て帰りも遅いみたいだし。

普段の業務である経営改善も、相談者や会員からの悩みトカ聞いて、手続きしたり、打開策を出さなきゃいけないだろうし。

その上、中小企業診断士の資格の勉強もしてるワケだし………。

シン、大変なんだね。


アタシがここで、“寂しい”トカ、“逢いたい”トカ、“声聞きたい”トカ、“触れたい”トカ………。


それこそ、“シンとエッチしたい”なんて言ったらワガママだって叱られるよね?

ツライのシンも同じだよね?

きっと―――――


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