ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】


「―――――それにしても真ちゃんも真ちゃんよねぇ。衣理ちゃんここまでブルーにさせといて。何考えてんのかしら?………あ、稲葉くん!ギネスビール二つねーっ」


ホント。
今まで恋愛してきて、こんなにブルーになったコトなかったかも。
失恋ならまだしも………。


「………」


お陰でコトバに詰まる。


「衣理ちゃんもそんな真ちゃんに遠慮して、逢いたくても我慢してんでしょ?」

「……いや、そんな………」


「―――――我慢しなくていいのよ?ああ言う“向こう見ずタイプ”には、もっと強引に行かないと………って、衣理ちゃん?」


あれ?

あれれ?

何だろアタシ………。

「―――――衣理ちゃん、もしかして、泣いてるの?」


気が付くと、小さな涙の粒が、ボロボロ零れ落ちていて。

次から次へと溢れ出す。


「―――――我慢しないでいいのよ………」


テーブルから軽く身を乗り出した淳子さんが、アタシの頭を撫でてくれた。

撫でてもらったら、タガが緩んだのか、涙が大粒に変わったのが、分かった。


「淳子さん………アタシ…の……話、聞いてくれます、か………?」

淳子さんはゆっくり頷き、またアタシの頭を優しく撫でてくれた。


―――――アタシは、淳子さんにシンへの気持ちと、栞やチャコと会って話したコトと………元カレだったノブのコトを話し始めた。



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