ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
タバコを一口吸い、ぷっくりとした妖艶な唇から、煙を吐く、
ゆっくり上へと舞い上がる煙。
燻らすそれを見詰めながら、淳子さんがこう言った。
「―――――正直、元カレと真ちゃんの間で揺れてるんでしょ?」
「えっ………?」
「――――だってさぁ、真ちゃんとなかなか逢えず切ない気持ちでいるところに、ガラリと変わった元カレ登場とキた。『昔はチャラくて、女の身体だけが生き甲斐みたいだった男が、一人の女性との出逢いで見違える程、見た目も中身も変わった』。………そんな元カレが、マンガかドラマみたいな劇的な変わりっぷりに、衣理ちゃんの性格からして、“全く揺らいでない”………とは言い難いわよねぇ?」
“ねぇ?”
………と言われましても。
アタシはどう返していいのか………。
て言うか、アタシは………。
ノブに惹かれてる?
じゃあ、シンは?
半分に割ってただし巻き玉子の箸を止めた。
「―――――正直……自分でもよくわかんないんです………」