ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「―――――いずみ、今年の秋に独立するの」
え?いずみさんが?
独立って………“M-Blow”辞めるってコト?
てか、突然―――――会話が脱線?
「―――――いずみ、だいぶ腕上げてきたし、お客様もいずみを指名する方が凄く増えてきたしね。いずみも今年30だし。もう、母親のあたしと一緒に仕事する歳じゃないし。ま、始めから独立させるつもりでいたけどね」
………30歳で独立、かぁ………。
いずみさんのテクや接客、全てにおいてアタシの目標の女性。
以前から、“独立したい”って話してたけど、とうとう実現するんだ。
正直、いずみさんがいなくなるのは、気持ち的に寂しいと言うか、不安というか………。
でもでも、いずみさんにとっては夢だったワケだし、アタシも将来は―――――。
「そこでね、衣理ちゃん」
人差し指でトントンと軽くタバコを叩き、灰皿に落しながら淳子さんがアタシを直視。
「あなたを、うちのサロンのチーフにしようと思うの」
「―――――ええっ?!」
淳子さんは、目を反らさずアタシを直視したまま。
アタシ………ヘビに睨まれたカエル?←使い方違うって
「あた…アタシが………チーフ、デスか?」
チーフと言ったら、淳子さんの次にエラいポジションなんですケド。
アタシより年上でベテランの先輩が3人もいるのに………。
「じゅ、淳子さん………あのぉ………先パイが3人いらっしゃるのに、差し置いてはちょっと………」