ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】




「―――――いずみ、今年の秋に独立するの」


え?いずみさんが?

独立って………“M-Blow”辞めるってコト?

てか、突然―――――会話が脱線?


「―――――いずみ、だいぶ腕上げてきたし、お客様もいずみを指名する方が凄く増えてきたしね。いずみも今年30だし。もう、母親のあたしと一緒に仕事する歳じゃないし。ま、始めから独立させるつもりでいたけどね」


………30歳で独立、かぁ………。

いずみさんのテクや接客、全てにおいてアタシの目標の女性。

以前から、“独立したい”って話してたけど、とうとう実現するんだ。


正直、いずみさんがいなくなるのは、気持ち的に寂しいと言うか、不安というか………。


でもでも、いずみさんにとっては夢だったワケだし、アタシも将来は―――――。




「そこでね、衣理ちゃん」

人差し指でトントンと軽くタバコを叩き、灰皿に落しながら淳子さんがアタシを直視。




「あなたを、うちのサロンのチーフにしようと思うの」


「―――――ええっ?!」


淳子さんは、目を反らさずアタシを直視したまま。

アタシ………ヘビに睨まれたカエル?←使い方違うって




「あた…アタシが………チーフ、デスか?」


チーフと言ったら、淳子さんの次にエラいポジションなんですケド。

アタシより年上でベテランの先輩が3人もいるのに………。


「じゅ、淳子さん………あのぉ………先パイが3人いらっしゃるのに、差し置いてはちょっと………」

< 541 / 755 >

この作品をシェア

pagetop