ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
怖ず怖ずと話すアタシに、淳子さんは一服した後、こう言った。
「衣理ちゃん。うちの仕事ってのは実力主義なの。年功序列の古臭いスタイルはナンセンス!………確かに、衣理ちゃんより年上で経験積んでるコもいるわ」
「ですよね?まだアタシ、淳子さんのお店で働き始めて5年トカですし………」
「まだ言ってんの?うちは“実力主義”って言ったでしょ?―――――衣理ちゃんにはテクは勿論、経理にもだいぶ長けてるし、ムードメーカーでもある。チーフとしてみんなを纏める素質が十分ある。いずれ衣理ちゃんも独立させたいしね」
ウインクして微笑む淳子さん。
「いずみの件は、GW明けにあたしから皆に話す。ま、いずみが独立とは言え、姉妹店として相互に補完するつもりではいるから。………色々大変だけど、しっかり頼んだわよ、大友チーフ♪」
「じゅん…こ………さん………ありがとうございますっ!!」
サプライズと、夢へ一歩近づいたのと、チーフなんて大役をこなせるか不安なのと、さっきのガマンしてた気持ちが。
一気に堰が切る…いや、バラバラに壊れたみたいにボロボロ、ボロボロと涙が溢れ出す。
嗚咽まで出てきて………止まんないよ………。
「たーだーし!最近みたいにボーッとすることがあったり、凡ミスが続くような時は直ぐに他のコとチェンジするから。覚悟してて頂戴!」
なんて、釘刺されたケド。
もっと沢山、勉強しなきゃいけないケド、まだもやもや霧の中だけど。
頑張れる気がする―――――