ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】


「……………ところでココ、何処なの?」


アタシは、淳子さんと二人で稲葉さんのお店にいて………。

美味しい食事を堪能し、仕事のコトや、過去の恋バナや、男には言えないトーク(稲葉さんは聞いてただろうけど)で盛り上がりーの、ビールがば飲みーの…………記憶喪失。


「ココ、店の人の休憩場所っつーのかな?稲葉さんって人に訊いたら“家に帰りたくないときに泊まる別荘”って言ってたけど…」


「別荘…?しかも、家に帰りたくないトキのって………」

稲葉さんの顔を思い浮かべながら、思わずくすっと笑ってしまった。


店と同じく、一面ブラックの木壁。

オレンジ色したダウンライトが3箇所ほど点いてて……ちょっとエキゾチックというか、ムードある雰囲気。

見上げると、天井低っ!!
腕を伸ばしてみると、簡単に手の甲が天井に着いた。

………ロフト?そうだ、ロフトだ!!


別荘というには何かヘンな感じだけど、妙に落ち着く。


この部屋に唯一あるソファにもなる折り畳み可能なシングルベッド。
そこに、アタシは寝かせられていたようだ。


シングルベッドを縦二列分のスペースしかないこのロフト。

この狭い空間にシンとアタシだけ。


薄暗いせいか、狭くてシンとの距離が近いせいか、久し振りに逢うからか、そう思ったら、何だかいつになくドキドキしてきて。


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