ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
ニッコリと微笑んだかと思ったら、急に真剣な表情になって。
アタシの唇は勢いよく彼の唇で封じ込められ、温もりをくれたその手は、花びらを一枚ずつ捲るように、乳房に少しずつ近づいてくる。
唇が耳元に移り、シンが囁く。
その時、彼の動きがピタリと止まった。
「やっぱ、久し振りに逢えたってのに、ロクに会話もしないで、こうして愛しい女を抱く俺は、最低かな?」
さっきまでの強気な態度とは打って変わって、弱気発言。
「ううん。全然。そんなことない………。アタシも逢いたくて逢いたくて………触れたかったの………あの………その………」
「なんだよ………もじもじしてねぇで、ハッキリ言えよ」
ちょっと怒り気味の口調。
もじもじされるのを嫌うシン。
解ってる。
解ってるンだけど…………。
―――――さっき交わした淳子さんとの会話が脳裏を過ぎった。
“―――――我慢しなくていいのよ?ああ言う“向こう見ずタイプ”には、もっと強引に行かないと”
「………あの………だから………身体で繋ぎ止めるとかそーいうのじゃないけど、なんか……その………………したい。…………シンと、セックスしたいの」
言ったアタシが一番驚いた。
シンの顔なんかまともに見られなかった。
今まで、自分からそんなコト、シンに伝えたコトなんてなかったから。
「……………エリ…………もう、俺、お前が好きすぎて我慢できねぇ」