ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
耳を澄ませ、淳子さんが行ったのを確認するシン。
「―――――ったく何だよ~っ。これからいいとこだったのに………」
「バカ………」
そう言いつつ、アタシも実は残念だったりして。
あ……顔が赤面してくのが自分でも解る。
「スキあり」
―――――シンの、熱を帯びたキスで、アタシは。
――――――やっと、現在(いま)が夢でも天国でもないコトが解ってきた。
「続きは後でな、エリ」
ああ。
三日月みたいに目を細くして、口を大きく開けて笑うその、表情は――――
アタシが今一番、逢いたかった男性(ひと)の、欲しかった笑顔。
逢いたくて
逢いたくて
逢いたくて
逢いたくて
逢いたくて
逢いたくて
ひと月逢えなかっただけなのに。
今まで散々、愚痴ったり凹んだりしてたのに。
不思議と、寂しさトカ、悩みトカが。
一瞬でぶっ飛んだ―――――
不思議な感覚………。
シン………。
あなたは、不思議なチカラを持ってる………。