ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「―――――ホント、情けねぇな……。2ヶ月前、専務理事から『今度の7月末の診断士養成課程入学試験を最後に、会議所からの補助を打ち切るから』って…。『会議所の今後は君にかかっているから』だとよ」
あははっ………と、渇いた笑い。
目はこういうトキ正直。瞳は笑ってなんかいなかった。
アタシはシンを見詰めてたケド、彼はアタシを見ようとしないで、枕に顎を乗せ、俯せの体勢に変えた。
「俺さ…最近、何の為に診断士の資格取ろうとしてんだかわからんっちゃ………。会議所にハク付ける為じゃねえのに、養成課程の学費を補助金で…ってアテにしてる自分もいて。………エリに、どんどん先越されてるし」
「シン………。アタシと較べたって何もなんないっちゃ…。やってる仕事自体全然違うのに………」
アタシは、アタシ。
シンは、シンなのに。
「会議所の連中も、俺のことバカにして…クソッ!」
そう吐いた後。
―――バフッ!!!
抱えていた枕を壁に向かって勢いよく投げ付けた。
枕はゆっくりと白い壁を伝いながら、床へと落ちていく。
「俺、7月末次の養成課程と、8月の診断士試験受けて両方ダメだったら………。診断士になるの、諦めるよ」
―――――まだアタシは、落ちた枕のある方向を見ていた。
一点を見てるワケじゃなくて、ただ、目を開けているだけ。