ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「エリ………随分言ってくれるんじゃね?」
「うっ………」
返すコトバもなく、だからと言ってアタシが謝るのもどうかと…。
困ったコトに、引っ込みがつかない。
「………し、シン………頑張ってるじゃない!」
「………いち…一度や二度落ちたから、うまくいかないからって、自分をそんなん責めたり、他人(ひと)と較べなくたっていいじゃないのっ!!」
「………ったく、うっさいわっ!!どんなに頑張ったって、受かるモン受からねぇとダメなんだよ!!悠長な事言ってる時間なんかねぇんだ!!………エリはいいよな……。周りに、そうやって認めてくれる人がいるんだから。俺の周りにはそんなヤツいやしねぇ。“君の肩にかかってる”?ふざけんな!………陰で散々バカにしてるのを、俺が知らねぇと思ってンのかよ!!!」
バフッ!!!
「ふがっ!」
し、しまった!!
シンが弱気なコト言うから、また枕で殴っちゃったじゃん!
しかも、今度は顔面………。
「エリ、何なンだよ………お前、さっきから………。俺に恨みでもあんの?」
「ご……ゴメン………な、さい…」
謝ったものの消えそうな声は、尻つぼみに。
あんまりにもシンが弱気発言したり、他人と較べるようなバカみたいなコト言うもんだからつい枕で叩いたり、暴言吐いたりしてしまった………。
お酒の勢い借りてついやらかしてしまったケド。
アタシがキレた理由、ホントはそれだけじゃないの。
シンに逢いたいトキに逢えなくて、我慢してたキモチがが一気に爆発した………その起爆剤がシンの発言だったんだ。
そーいうトコ素直じゃない、アタシが一番、サイテーだね。
ヤバイ………また涙でそ…。
指の腹で目頭を拭いていたら、シンがぼそぼそっとした声でこう言ったの。
「………俺、さっきっから弱気な事言っちゃってるけど、エリだから言ってるんだからな。お前以外に、こんな話しねぇよ」
ヤバイ………そんなん言われたら、せっかく拭った涙、また出るじゃない。