ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】




「……………何だよ、黙って………って、何回泣くんだよ………」


まただ。


同じ場所、同じ時間。
一緒にいて触れ合っている今。

この一瞬、一瞬。

もう、このまま離れたくなんかない。


そう思ったら………涙。


アタシは、こんなに泣き虫だったっけ?

体内の水分が、全て涙に変換されているぐらいに。

シンのコトを想って、どんだけ泣けばいいんだろう?

アタシの両耳で輝くピアスは、“涙を封じ込める”って意味なのに。

ピアスから、アタシの、シンへの想いが溢れ出ているんじゃないかってくらいに。

次から
次から
次から

涙と一緒に、キモチが溢れ出す。


「エリ、随分我慢させちまったな………気ィ、遣わなくていいんだかんな………」


「………うっ……うっ………うううっ………」


どうしよ………。
涙が止まんない………。


「………俺、“泣かせない”とか言っておきながら、かなり泣かせてるし。ゴメン………」

アタシの左耳に囁き、着けているピアスに軽くキス。
その後、アタシの身体はシンの方へと向き直された。


そして。
そっと、涙の滴(しずく)を指の腹で拭う。


「―――――こんなこと言うのも、ヘンだけど………泣き顔もカワイイよ………」

アタシの両肩に手を置き、顔を覗き込むシン。
シンの顔もまともに見ずに、アタシは俯いた。

「………ひっく……ホント………ヘンだよぉ……。ひっくっ……やっぱシンはヘンだよぉ……………んっ…………っ」


気が付いたときは、もう。




シンの、熱を帯びた唇に塞がれていた―――――








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