ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】


**********


仙台の夏の風物詩・仙台七夕まつりも、お盆もあっと言う間に過ぎた。


8月も、あと10日程で終わろうとしてる。

今年も、シンと七夕まつりを過ごすコトは出来なかった。
何年か前に、1度二人で七夕まつり行ったっきり。


仕方ないの。

丁度中小企業診断士の一次試験と重なってて。
一番最近シンと逢ったのは、彼のおじーさんの新盆のお参りで水嶋の家に行ったトキ。


シンのおじーさん、仙台市の議員さんやってたってこともあり、お葬式では人がごちゃごちゃいた。
今年は初めてのお盆ということもあり、親戚だか、議員サンだか、近所の人だか、これまたごちゃごちゃ。

アタシは、シンの一番下の妹の“はな”サンとおしゃべりしながら、彼女の部屋に猫のミーナといたんだけど………。

歳が一つ違いだから話も合って。
きゃあきゃあ言いながらいたら………。




『エリ、みんなに紹介するからおいで』


って、シンからお呼びが。

んでもって、4、50人ぐらいは居るであろう親戚たちの前で紹介されるハメに。

その人数が余裕で水嶋家に入れるんだから、改めてこのウチ、スゴイわ。

で、何だかワカラナイうちに、ミーナ抱っこしたままのアタシ。


『こちら、俺の婚約者の大友衣理さん。結納は、診断士の資格取ったらすぐするから』

『あ………改めまして……お、大友衣理デス。よろしくお願い申し上げますデスっ』


ペコペコと水鳥みたいに、頭下げまくってた。

談笑してた場が。
急にシーン………と静まり返り。

皆一斉にアタシを見るもんだから、あまりにも緊張して、ヘンな日本語になっちゃって。

お陰で顔が真っ赤っ。きゃああ、恥ずかしっ!
水嶋家に初めて呼ばれたトキも緊張したっけ。


すると、どっからかヒソヒソ話すオバハン連中や、“水嶋家の嫁には…”トカ言ってるおじいちゃんやら。

ちょっとちょっと!!
本人目の前にしてっ。

何か気になるフレーズがちょこちょこ聞こえてくるんですけどっ。



< 573 / 755 >

この作品をシェア

pagetop