ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
―――――待ち合わせの時間より随分早く着いちゃった。
改札口には、アタシと同じく、広瀬川灯ろう流しに行く人たちだろうか。
老若男女問わず、浴衣姿が目立つ。
最寄駅でうじゃうじゃ人がいるんだもん。天気いいから、会場は人出が多そう………。
小さな鏡二つ合わせてヘアスタイルのチェック。
よしっ、オッケー。
………マスカラもアイラインも落ちてない。
グロスだけ少しつけ足ししてっ…と。
ひゃあ~なんか緊張するっ。
いつも仙台でのイベントらしいイベントに、シンとゆっくり見るコトなかっただけに妙に新鮮で、ドキドキしてる。
留めた帯と緊張で、胸が締め付ける。
アタシの目の前を、浴衣姿のカップルが何組も通り過ぎてく。
手を繋いで………。
花火大会の話したり、今日あったハッピーな出来事を交わしてたり。
微笑ましくなる。
だって、アタシもシンが来たら………。
すると、巾着の中で規則性ある振動が。
このバイブレーションは、ケータイ見なくても解る。
―――――シン!
ケータイを取り出し、画面を開く。
“水嶋真一”
ほらね、やっぱシンからだ。
躍る胸を抑え、深呼吸を一つしてから電話に出る。
“―――――あ、エリ?俺だけど………”
相変わらずボソッとしてて、ぶっきらぼうな感じ。
でも今日は許せちゃう。
シンからの電話で、思わず顔がニヤける。