ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
季節は12月になり。
あと一週間で、アタシとシンがつきあい始めて5年になろうとしていた。
この日はシンの中小企業診断士の二次試験(筆記)の合格発表の日。
合格発表は、正午に【中小企業診断協会】ってところのサイトにアップされる他、自宅にも文書が届くみたい。
後は、職場の方に合否の連絡が入り、上司から報告されるみたい。
うわわわわ~。
合格発表って、緊張するよねぇ。
シンは去年から何度もこの緊張を味わっている。
“今度こそ、今度こそ”って、きっと思っているはず。
アタシはただ、祈るしかできなくて。
メールでエールを贈るのが精一杯だった。
ホントは逢いたかった。
あって直接、エールを贈りたかったんだよ。
でもね。
あの電話の一件があって、試験結果が分かるまでは逢っちゃいけないって、アタシの中で勝手なルールを作ってた。
シンの向こう見ずの性格は、解っていたから。
アタシと逢う時間より、試験勉強の方が大切だって、思っていたはず。
………アタシは、ホントにシンの彼女なのかな?って、疑問に思う要因。
お昼休み。
スタッフルームで、先輩と二人でランチ後のおしゃべりをしていたら、シンからメールが来た。
先輩から、
“衣理~、カレシから?試験の結果今日なんでしょ?”
って、好奇心ありありに訊かれて。
アタシは、胸のドキドキを抑えながら、ケータイのメール画面へと指を走らせる。
“二次試験…ダメだった、今夜俺を慰めて”
先輩の言う通りメールの主は、シンからだった。
久し振りに逢いたい気持ちはモチロンだけど、“今夜慰めて”ってコトバが気になって気になって。
アタシとシンは、仕事が終わってから逢う約束をした。